「デカフォレストに聞きました」第22回 津田 信樹さん

野辺山ウルトラマラソン「デカフォレスト」
デカフォレスト 津田 信樹さん
津田 信樹さん(長野県南牧村)

野辺山初参加年:1996年
野辺山初完走年:1996年
野辺山完走回数:10回


1、地元の方ならではの練習方法を教えてください。

 3月までは、冬山状態で外でのトレーニングはしてません。大会の2ヶ月前になれば、実際のトレイルコースで練習ができます。できるだけ林道の標高のある所まで登り、2キロほど下ったら、1キロ登り、また2キロ下り、また1キロ登りをくり返し走ります。普段は私だけの練習場です。


2、野辺山ウルトラ完走攻略は?(最初の難関、最後の難関、必需品など)

 八ヶ岳の大自然のいたずらに勝つ!寒さ(スタート時0.6度ということがありました)、一日雨降りもありました。1日3度のすごい夕立、暑さ、風…!これを対処する。私は100円均一のカッパ、ワゴム、ゴムヒモで雨を防ぎ、体温調整します。体温が下がる前にするのがポイント!

 寒さが辛くなるのは馬越辺り。「どうしても歩いてしまう」この場所では体温も下がります。それまで走り続けたことでかいた汗さえ体温を奪う敵となる瞬間です。そこで津田さんの「カッパ&輪ゴム」が大活躍。雨が降っていなくても準備するカッパを着て、更に袖口を輪ゴムで止めます。それにより風が中に入らず保温効果が得られます。そして熱くなったら輪ゴムを外して風を通す。これで馬越での体温調節は完璧!寒さは体力も奪っていきます。走っている間には気づかなかった寒さに負けないよう、是非参考にしてください。


3、デカフォレストを目指した瞬間はいつでしたか?(もしくは、目指したきっかけ)

 8回目の完走が出来た時、リーチが現実になりそうになって、あと2回のカウントダウンが始まった。

 2回のカウントダウンは問題なくデカフォレスト達成。自分へかけたプレッシャーで、それまで以上に練習も頑張った津田さん。デカフォレストという目標ができ、気持ちをしっかり保てた結果だそうです。


4、デカフォレストになった瞬間の気持ちを教えてください。

 自分へのプレッシャーが消え、達成感に酔いました。

 「達成感に酔った」と言われる津田さんですが、フィニッシュ時のテープ係はいつもの女性から男性に。「あれ?」と思ううちにフィニッシュ。その後メダルをかけてもらうことなく進み2度目の「あれ??」。待っているうちに係りの方から「忘れてた!」の一言と一緒にメダルをかけられたそうです。ちょっと残念な(?)フィニッシュだったみたいです。


5、デカフォレストになって変わったこと、良かったことはありますか?

 なぜだか過酷なのに楽しく走れる。

 プレッシャーも無くなり、今はレースを楽に走れる気持ちでいっぱいだとか。
 また、デカフォレスト後トレーニングも変わり、走る距離も変わったそうです。今まで続けてきた林道トレーニングから、平坦な場所でのトレーニングに。「野辺山向きではないかも・・・」と言う津田さんですが、平坦な地でもウェイトを背負ったり、重い靴で走ったりと、工夫もしているそうです。


6、あなたにとって「デカフォレスト」とは何ですか?

 青梅マラソンから始めて25年、変わり者マラソンマニアになれた事。


7、デカフォレストを目指すランナーへメッセージをお願いします。

 どうしたら確実に完走できるかを考える。リタイアは考えてはいけない!


 かくいう津田さんですが、デカフォレストまでに2回のリタイアを経験。リタイアするときと完走するときの違いは「気持ちと気力」。楽になりたい、と思ったらリタイアを選択してしまうそうです。辛い馬越の下りも、「バックで走る」と気力で進むか、「足が痛い」とバスに乗るか。
 途中のエイドでも気持ちが諦めの方向に向かうと何も口にしなくなるそうです。走る気持ちが続いていれば無理をしてでも食べる。この「気力」が必要。
 リタイアへの誘惑も多いと津田さんはおっしゃいます。「足が痛くて・・・」と弱音を吐くと「一緒にリタイアしよう」と誘う人もいるとか。しかし他のランナーとの交流はもちろんリタイアのお誘いばかりではありません。津田さんも過去の大会において、フラフラで走って(歩いて?)いるところ、女性ランナーに水筒の水を分けていただいたそうです。そのときは「見ず知らずの自分に・・・頑張ろう!」と力まで分けていただいた津田さん。弱い気持ちのときは同様のランナーが目に付くもの。「気持ちと気力」が保てれば、周りのランナーの見え方も変わります。
 2回リタイアしたからこそ言える、「リタイアは考えてはいけない!」


prev「デカフォレストに聞きました」next