「走りたい気持ち」と「走れない身体」(1)

2008年6月 3日
サハラへ出国した時は一部咲きだった桜もサハラマラソンから帰った時にはすでに葉桜。桜花の命は短く、散り際の潔さから別名を‶男花″という。 木々の小枝は萌黄に染まった葉の衣を纏い、薫風にたおやかさを注いでいる。 冬、土の中で訪れる春を待ちわびていた生きとし生けるものたちも一斉に活動を始める。 外気もぬるみ長く纏っていた外套(今は云わないか?)を脱ぎ捨て、人間は春の装いに衣替えする。 自然も人も季節変わりを実感する。 自宅から会社まではおよそ6km。今の私には丁度良い距離。木々の緑と薫風を浴びながら走るにはうってつけである。気が向いたときには走る。平塚の海岸に近い自宅から国道1号~JR東海道線~大磯の町中~会社、といった順路。この近辺には花水川の川辺、湘南平の小高く手の入っていない山道、大磯海岸の砂浜、そして箱根駅伝コースの東海道と、走るには飽きないシチュエーションがたっぷりある。 かって、まだ365日走りに夢中になっていた頃は、大山や箱根、鎌倉や江の島まで足を伸ばし、たっぷりした距離を堪能していたものだが、不養生と酷使が祟り、腰を痛めて二度の手術を受けてからは「走りたい気持ち」と「走れない身体」が分離し、不健康な日々が続いている。

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