アースマラソンサポート記 北米横断43日目

2009年5月 1日
 今日から5月。日本では「風薫る季節」になり、GWも今年は大型と聞いているが、アースマラソン敢行中のコロラド州はまだ寒い日と温かい日が交互におとずれ、不安定な気候だ。

アメリカに入り、43日目の走行となる本日は、コロラド州とカンザスの州境に近い町Lamarからの出発。今朝はおにぎり3個と、餅3個を入れた雑煮を食べてもらった。寛平さんは朝から旺盛な食欲で、我々も寛平さんがしっかり食べてくれると本当にうれしくなる。なにしろ連日55〜60kmのランニングをするわけだから、その糧となるエネルギーをしっかり摂ってもらわないことには始まらないわけである。特に、和食党の寛平さんに何食もパンやファストフードで凌いでもらうわけにはゆかないから、1日1回は和食で力をつけてもらいたいのが願いだ。

 カンザス州は広大な平野を利用した一大農業地域と聞いている。いろいろな野菜類を大規模農場で栽培することと、牧畜である。R50号をLamarからGarden cityに向かって走るのだが、この間がおよそ140km。町とは呼べないくらい小さな集落が点在していて、牧場や畑、荒れて使われていない原野がひろがるばかりだ。このあたりらしい情景に出会ったのは、スタートしてから5kmほど進んだところ。道路に沿って巨大な牛の集積場があった。勿論、一帯には牛糞の匂いが充満していて、とてもではないが息苦しくなる。ざっと見て1万頭以上の牛が囲われた柵の中にいて、ちょっと異様な感じがした。「なんやこれ~!すっごいにおいやなあ。それとこの数・・・」寛平さんの一声。確かに。黒、茶、白、まだらといろんな牛がいる。これは何の牛なのか??ということが話題になり、ダグラスに聞くと「これは生育の良くない牛が農場から集められて、飼料を与えられ、生育後再び農場に送り返されるための施設」とのこと。さすがは大量の食肉牛を生産している国だ、と妙なことに感心。

 今日は一昨日に引き続いて朝からの曇天で、風も強く、走りだしてしばらく経つと細かな雨が混じってきた。気温もスタート時から比べるとかなり下がり、体感的には5~6℃、といった感じだ。スタートして15km、ちょうど宿泊場所のモーテルに差し掛かったので、急遽ここで着替えることにした。わずか30分後、再スタートする頃には、曇り空は変わらないものの雨の心配は遠のいた。昨年、12月に大阪を発ってから陸路では不思議なくらい雨に会っていない。4か月という期間を考えるとこれはもう神がかり的なほどの結果である。今日も天気予報では曇りから雨の予報だったが、結果的にはほんの小糠雨に終わっている。寛平さんには「神さん」が乗り移っているのか?と思えるほでである。不思議なことはこればかりではなく、もっと様々なところで考えられないような出来事が起こっているのだが、それはまたの機会、ということにする。

 カンザス州のこの時期はサンダーストームとツイスターが最もよく発生する時期といわれている。ロッキー山脈という標高の高い山々から地形が平地となる大平原の中で起きやすい自然現象なのだが、こんな遮るものがなにもないところでこれらの現象が起こったら、どこに退避すればよいのか?くぼ地に身を伏せて行き過ぎるのを待つのか?ヒューム管と呼ばれる通水管の中に逃げ込むか?いずれにしてもここ数日、ロッキーを下った後の天候を見ているとあながち発生はゼロという感じでもないので、用心しながら進んでゆくことにしよう、と実感した次第。

 正確にカンザス州に入るのは明日から。大平原を通過するのには14~20日間かかる。起伏は圧倒的に少なくなったが、平地は平地でまだまださまざまなことが待ち受けているに違いない。北米横断開始から44日目、区切りの2000km到達も明日となった。最初は走れども走れどもアメリカ地図のNYは遠かったが、コツコツ毎日根気よく走る寛平さんの走りは、北米東西横断の半分にまで歩を進めてきていることになる。明日からのカンザスでは一体どんな旅がわれわれを待っていてくれるのだろうか?

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